大学で行われている学問には基礎研究と応用研究とがあって――
基礎研究は人々の知的好奇心に根ざしていて、応用研究は社会からの要請に基づいていると思うのですが――
その境界は実に曖昧です。
むしろ、
――基礎研究とは?
あるいは、
――応用研究とは?
と問い続けることで――
かえって曖昧になっていく――
応用研究も人々の知的好奇心を刺激しうるし――
基礎研究も社会からの要請がないわけではないのです。
ですから――
基礎研究と応用研究との境界をわざわざ明示する必要はない、と考える人も少なくはないようなのですが――
少なくとも、その境界の曖昧さを、まだ十分に実感できていないような人たちには――
その境界の存在を敢えてキッチリと明示するほうがよいのではないでしょうか。
具体的には、中学生や高校生たちです。
この境界の存在に気づかなかったばっかりに――
あとで必要以上に苦労する人たちが、少なからずいるようなのです。
大学というところは、実際には、基礎研究の入り口でもあり、また応用研究の入り口でもあるのですが――
そのどちらかでしかないと誤解をしたままに、大学に進んだり、あるいは進まなかったりすると――
あとで、
――こんなはずじゃなかった!
と後悔をしてしまいがちなのですね。
実に、もったいない後悔です。