――自分で自分を「おじさん」と呼んでいるうちは、本物のおじさんにはなれない。
などといいますが――
たしかに――
その通りですね。
29歳から30歳になったときに――
ずいぶん自分がおじさんになったと思ったものですが――
それから9年が経ち――
一向に、
――ああ~、おじさんになったな~!
という気がしません。
むしろ――
そういう気が年々しなくなっている――
30歳になりたての頃は、
(よ~し、僕もおじさんになるぞ~!)
と張り切っていたようなところがあって――
だから――
自分のことをしきりに「おじさん」呼ばわりしていたわけですが――
だんだん、その心理にも慣れてきて――
いつの間にか――
「30歳」というおじさんへのハードルを一つ乗り越えたことも忘れてしまい――
20代のときの感覚を不用意に思い出したりなんかして――
……
……
そうやって――
かつて青年だった男は、しだいに、おじさんになっていくのだと思います――
無意識に、かつ無自覚に――
つまり――
自分で自分を「おじさん」だと意識し、自覚しているうちは、とうてい本物のおじさんにはなれず――
その意識や自覚が薄れた頃に、本物のおじさんになっている――
……
……
ずいぶん逆説的な説明ですね~。
と同時に――
ちょっと切ない気もします。
……
……
まあ――
これが的を射た説明かどうかは、今の僕にはわかりませんが……。
10年後には、わかっているかな~。