10年、15年前を振り返って、
(ずいぶん遠くまできたものだ……)
と感じます。
が――
20年、30年前を振り返ると――
(そんなでもない……)
むしろ――
すぐ“近く”にあるような気がする――
20年、30年前よりも、10年、15年前のほうが“近く”にあるわけはないと思うのですが――
……
……
なぜなんでしょう。
不思議ですね。
それとも――
そんなふうに感じるのは僕だけでしょうか。
もちろん――
時間の経過を“近い”とか“遠い”とかで表現をするのは、あくまでも比喩であって――
そのように、時間の経過を距離に置き換えて理解すると、時間の本質が見失われる――
との指摘も哲学者らによってされているわけですが――
それでも――
(なぜなんだろう?)
と考えてしまいます。
たぶん、その理由は――
時間の本質とは関係がないのでしょう。
では、何と関係があるのか――
あるとすれば、記憶の本質でしょうか。
単純で強烈な記憶は“近く”に感じ――
複雑で曖昧な記憶は“遠く”に感じるのかもしれません。