独裁権力者の孤独の悲哀というものを――
ときに虚構の世界で――ときには、報道などを介し、現実の世界で――見聞きしますが――
あの「孤独」の最たるものは、
――自分が独裁権力を手放したあとの心配を、自分だけが一人でしなければならない。
の一点に尽きるであろうと感じます。
その一方で――
自分以外の全ての者は、自分が独裁権力を手にしている間の心配に余念がないにもかかわらず――
その「孤独」というものは――
いってみれば――
自分以外の全ての人混みが東に向かって歩いている中で、自分だけが一人、西に向かって歩くような孤独です。
この“対面の齟齬”があるからこそ――
独裁権力者は、人々の気持ちが次第にわからなくなっていくのでしょう。
自分と行き違う全ての人々と、決して視線を合わせることなく――
ときには地べたに視線を這わせ、ときには虚空に視線を泳がせながら――
その気になれば――
容易に視線を合わせられるにもかかわらず――
それでも決して視線を合わせることなく――
なぜ人々が西ではなく東に向かって歩いているのかを――
これっぽっちも考えようとせず――