――積極的に動いて失敗するほうが、消極的に留まって成功するよりもよい。
というようなことをときどき耳にしますが――
たぶん――
これは、当人の主観的な心情の問題なのだと感じます――少なくとも、周囲の客観的な情勢の問題ではない――
客観的にみたら――
積極的に動いての失敗では、巨大な損害を被る危険性が無視できません。
むしろ、容易なことで取り返しのつかない事態に陥りかねない――
一方――
消極的に留まっての失敗では、それで失敗しそうであることに早めに気づき、すぐに適切な修正をかけることができれば――
たぶん微小な損害で済むことでしょう。
よって――
ひとまずは消極的に留まって、それで明らかに失敗しそうなら、すぐさま積極的に動く――
それが、もっとも合理的な行動指針であるはずです。
ところが――
実際には、「消極的」から「積極的」へと切り替えるのは、とても難しいのですね。
たぶん「積極的」から「消極的」よりも、ずっと難しい――
よって――
最初から消極的に留まるというのは、何となく気持ち悪いことです。
なぜなら――
自分で自分に無用な心理圧力をかけるようなものですから――
しかも――
それで仮に成功したとしても――
手にできる利益は微小なものに違いありません。
つまり――
「積極的に動いて失敗するほうが、消極的に留まって成功するもよい」というのは、
――消極的に留まって成功し、仮に微小の利益を手にしたところで、決して満足はできないのだ――むしろ、後悔ばかりが残るだけなのだ。
という主旨の警句なのだと思います。