世の中には、どうしようもない理不尽というものが、いくらでも起こって――
そうした理不尽に遭ったときというのは――
人は、何ともいたたまれない気持ちになるものですが――
そうはいっても、やはり――
人は、この世の中で生きていかなくてはならないわけで――
ですから――
例えば、
――こんな理不尽が許されてよいのか!
などと喚(わめ)いたところで――
少しも幸せにはなれないのですね。
喚いたところで――
自分の置かれている境遇は、これっぽっちも改善されないからです。
理不尽こそが世の中であり、現実であり、自然の姿である――
そう割り切ることでしか、理不尽を克服する術はないように思えます。
理不尽でないこと――つまり、道理に合ったこと、合理的なこと――のほうが――
むしろ、夢の中であり、虚構であり、人工の姿である――
そういうことなのだろうと思います。