言葉とは――
第一義的には、人の声帯で発せられる音であり――
音である以上――
言葉は、現れては消えていく現象であり――
それは――
何ら形らしきものを有しません。
もちろん、文字に置き換えられることで――
どうにか形らしきものを有するようにはなりますが――
音を剥ぎ取られ、文字に置き換えられた言葉は――
もはや本当の意味での言葉ではない――
という言い方もできます。
言葉が、
――「音」という現象
であることを忘れてしまうと――
言葉が持つ本来の変動性や流動性――あるいは、強いていえば自然性――を見落としてしまうことになるでしょう。
そうすると――
言葉を扱っていても、それが言葉だと思っていなかったり――
あるいは、逆に――
言葉でないものを扱っていても、それが言葉だと思い込んでいたりすることでしょう。