人の話を聞くということは――
多少の比喩表現を使うのなら――
その人の心に、自分の心を重ね合わせることです。
具体的には、どういうことか――
その人の心の動きを追体験することです。
例えば――
その人が喜んでいれば、一緒に喜んであげ――
その人が怒っていれば、一緒に怒ってあげ――
その人が考えていれば、一緒に考えてあげ――
その人が悩んでいれば、一緒に悩んであげ――
そういうことです。
ただし――
追体験だけで終えてしまっては――
自分の心がもちません。
追体験したあとで――
追体験する前の自分に、しっかりと戻ってこないといけない――
その人の心に自分の心を重ね合わせたあとで――
その重ね合わせた心を、きちんと剥がしてこないといけない――
この「戻り」とか「剥がし」とかをしないで人の話を聞いていると――
すっかり疲労困憊してしまいます。