マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「戻り」や「剥がし」が大事

 人の話を聞くということは――
 多少の比喩表現を使うのなら――
 その人の心に、自分の心を重ね合わせることです。

 具体的には、どういうことか――
 その人の心の動きを追体験することです。

 例えば――
 その人が喜んでいれば、一緒に喜んであげ――
 その人が怒っていれば、一緒に怒ってあげ――
 その人が考えていれば、一緒に考えてあげ――
 その人が悩んでいれば、一緒に悩んであげ――

 そういうことです。

 ただし――
 追体験だけで終えてしまっては――
 自分の心がもちません。

 追体験したあとで――
 追体験する前の自分に、しっかりと戻ってこないといけない――

 その人の心に自分の心を重ね合わせたあとで――
 その重ね合わせた心を、きちんと剥がしてこないといけない――

 この「戻り」とか「剥がし」とかをしないで人の話を聞いていると――
 すっかり疲労困憊してしまいます。