組織の構成員は――
本来、自分の所属する組織が大きかろうと小さかろうと――
つねに組織全体の役割や責任、あるいは利益や損害を考えなければならないものですが――
それは、建前にすぎません。
残念ながら――
組織の構成員の全てが、そのような視点を獲得することは、ちょっと期待しがたいところがあります。
構成員の過半数が、そうした視点を獲得できていれば、それは紛れもない僥倖なのであって――
多くの組織では、おそらく、過半数を多少なりとも下回っているでしょう。
それは――
よくよく突き詰めて考えてみれば――
結局は各構成員の性格や能力といった個性、あるいは意思や意欲といった心理に関わる問題です。
組織の構成員も人である以上、そうした属性は決して無視できません。
よって――
組織を束ねる立場の者は――
現実的には、そうした問題をガブっと丸呑みした上で、
――さて、自分に何ができるのか?
と冷静に考えるしかないのです。
――組織人たるもの、かくあるべし!
と息巻いたところで、所詮は理想論――
どうしようもないのですね。
その「丸呑み」の苦痛は――
組織が大きければ大きいほどに、おそらくは甚大でしょうが――
では、小さければ小さいほどに、軽微なのかというと――
たぶん、そうではありません。
その苦痛は――
組織が大きければ、鈍く重くて麻痺しやすく――
組織が小さければ、鋭く軽くて感受しやすい――
そういうものであろうと感じます。