一度、書き上げた文章に、どんどん筆を加えていくと――
だんだん論旨が不明確になっていきます。
ですから――
文章に筆を加えていくときは、つねに、その文章の全体をみながら論旨を整えるようにしていかなければなりませんね。
つまり、
――部分を弄りながら全体も弄る。
ということをしなければなりません。
これは、ちょっと考えれば、すぐにわかりますが――
意外に面倒です。
部分を弄って、全体を見回し、他に弄るべき箇所を探し――
そこを弄ったら、再び全体を見回し、他に弄るべき箇所が新たに生じていないかを考え――
そんなことをやっていると、
――最初から全体を弄るか!
となるのですね。
つまり、全体を一から作り直す――
文章だったら――
筆を加えるのを諦め、一から書き直す――
これは、一見とても面倒に思えますが――
実際にやってみると、そうでもなくて――
意外にすんなり終わったりします。
当たり前といえば当たり前です。
部分を弄りながら全体も弄るくらいなら、最初から全体を弄るほうが効率的なのですね。
が――
人は、それに、なかなか気づけません。
僕も、気づけません。
というよりは――
たぶん気づこうとしていないのです。