――私的な日記
というのを――
僕は、
(いらないな)
と思うのです。
自分のプライベートな心の動きや日常の暮らしぶりなどを、わざわざ文章に書き留める必要はない――
と思います。
なぜならば――
自分のプライベートな心の動きは、自分にしかわからないことでしょう。
日常の暮らしぶりだって、自分もしくは同居の家族にしかわからないことです。
そういうことをわざわざ文章に書き留めるということは――
自分のプライベートな心の動きや日常の暮らしぶりなどが、他者に知られやすくなるということです。
例えば、いわゆる不倫を楽しんでいる人がいて――
そのことを日記に書き、それを配偶者や子供に見られて大喧嘩になったとして――
いちばん悪いのは、家庭を維持したまま配偶者以外の人との恋愛を楽しんでいることそれ自体ですが――
次に悪いのは、そのことをわざわざ文章に書き留めたことです。
もちろん――
書き留めてもよいのですよ。
ぜひ書き留めておきたいという人を――
僕は止めたりしません。
そうやって書き留めることで――
自分のプライベートな心の動きや日常の暮らしぶりなどが、他者に知れやすくなるということを十分に承知しているのであれば――
それでよいのです。
文章に残すということは――
厳然たるリスクを伴います。
私的な日記は、その際たるものといえましょう――だって、「私的」だから――
これほどシリアスなリスクもないと思うのです。