若いときは、
――人生、一度きりなんて少なすぎる!
と思うもので――
しだいに歳をとっていくと、
――人生なんて、一度きりで十分だ!
と思うものだそうですね。
歳をとって人生の終幕が近づいてくるにつれて「一度きりで十分だ!」と思える――その理由が、よくわからなかったのですが――
最近――
なんとなく、わかるようになってきました。
要するに――
これまでの人生において、いくつかの幸運を掴み取ってきた自覚があって――
その幸運のお陰で今の生活があると考えている人たちこそが、「一度きりで十分だ!」と思うのでしょう。
つまり、
――人生をやり直すときに、また同じように幸運を掴めるとは限らないからね。
ということです。
これが、わかるようになってきたということは――
僕も、自分の人生における「幸運」に、だいぶ自覚的になってきた、ということですね。
いや――
本当のところは、よくわかりませんけれど……(苦笑