マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

野暮を承知で、あえて異論を

 とある会誌のエッセイを読んでいて――
 思わず笑ってしまいました。

 どんなエッセイかというと――

 その昔――バブル期の頃に「3高」という言葉がもてはやされていた、と――
 曰く、

 ――高学歴、高収入、高身長

 ですね。
 未婚の女性が結婚相手に求める条件です。

 その後、バブルが弾け、女性は身の丈にあった「3平」を求めるようになった、と――
 曰く、

 ――平均的な学歴、収入、身長

 です。

 さらに、失われた20年を経て――
 今や女性は「3低」を求めている、と――
 曰く、

 ――低姿勢、低依存、低リスク

 です。

「低姿勢」というのは、威圧的ではなく、丁寧で真摯な態度で他者を尊重する――
「低依存」というのは、家事などの身の回りのことを結婚相手に頼らない――
「低リスク」というのは、資格や免許や技術があってリストラにあいにくい――

 これら「3低」に、もう一つ「低燃費」を加えて「4低」と称する向きもあるそうです。

「低燃費」というのは、浪費をせずに節約に励むことができる――

 ここで――
 筆者の方が疑義を提示されます。

 そもそも「4低」を兼ね備えた男性が結婚を望むだろうか、と――

「3低」とは、つまり、自立していて、かつ覇気のない男性のことである、と――

 そんな男性が「低燃費」志向まで兼ね備えてしまったら、結婚など、望むわけがない――
 結婚生活の維持には多大なエネルギーを要するのだから、と――

(たしかに一理あるな)
 と思いました。

 が――
 野暮を承知で、あえて異論を唱えさせて頂けば――

「3低」は、たしかに自立した男性ではあるでしょうが――
 決して覇気のない男性ではないでしょう。

 低リスクの職に就き、日々、低姿勢で働き、暮らす男性を、一様に「覇気がない」と断罪するのは、いかがなものかと思います。

 丁寧で真摯な態度で他者を尊重することができず、つねに威圧的であって、しかもハイリスク・ハイリターンの職に拘りつづける男性を「覇気がある」とは、とてもいえないでしょうから――

「4低」のうちの「低燃費」が、結婚とは根本的に相容れない要素であるというご指摘は――
 まさにその通りと思います