説明すべき内容に虚構と現実とが両方とも含まれている場合には――
説明は、徹頭徹尾、誠実に行う必要がありますね。
ここでいう「誠実に……」とは、
――何が虚構で何が現実かをきちんと明示して――
くらいの意味です。
虚構であることをさも現実であるかのように説明をするのは――
誠実な説明ではありません。
虚構であることは、「あくまでも虚構である」ということを明らかにしておく必要があるのです。
が――
説明すべき内容が全て虚構であるならば――
誠実な説明は必要ありません。
その中に、あえて現実を混ぜ――
何が現実で何が虚構であるかを明示することなく、あえて虚構と現実とをないまぜにしても――
構わないのです。
小説や映画やTVドラマの中に、しばしば現実が描かれていますが――
そうした説明は、とくに不誠実ではありません。
が――
例えば、高度に学術的な説明というのは――
その説明の中に、しばしば抽象化・理想化された概念を含みます。
つまり――
虚構と現実とが両方とも含まれているのですね。
抽象化・理想化された概念というのは、半分以上は、虚構だからです。
学術的な説明をするときには、十分に気をつけなければなりません。