運・不運は――
人生では誤差の範囲内であろうと思います。
それは――
事実認識というよりは――
夢想願望なのかもしれませんが――
でも――
人は、
(そうであってほしい)
と願わずにはいられないのです。
もちろん、わかりますよ――
実に些細な不運で、命を落としてしまう人たちが、現にいる、ということは――
ほんの数メートルだけ、ほんの数分だけ、ずれていたばかりに――
交通事故に遭って亡くなる人たちがいる――
そういう人たちにとっては――
たぶん、その運・不運は、誤差の範囲内ではありえない――
だからこそ――
人は、そこに「誤差の範囲内」を超えた何かを見出そうとする――
例えば、
――元々そういう運命にあったのだ。
とか――
いえ――
そうではなくて――
例えば、
――元々そういう運命にあったのだ、ということであってほしい。
とか――
その願いは――
いつしか祈りに変わるのだと思います。