人前で何か話をするときに――
聴衆の立場に思いを巡らせるというのは――
とても大切なことです。
そうでなければ――
話が上滑りしてしまう――
自分の興味や関心に――
聴衆がついてこれなくなってしまう――
ところが――
一口に「聴衆」といっても――
その実は多種多様です。
10人の聴衆がいれば、10通りの立場がある――
もちろん――
全員の立場に合わせることは難しい――というよりは、不可能です。
では――
どうするか――
それら10通りの中の1通りの立場に思いを巡らせることです。
Aさん、Bさん、……、Jさんがいたとしたら――
例えば、Eさんの立場に思いを巡らせてみる――例えば、Eさんだったら、どんな話を聞きたがるだろうかと、あれこれ考えてみる――
そうやって話をすることで――
不思議なことに――
残りの人たち(Aさん、Bさん、……、Dさん、Fさん、……、Jさん)も話を聞きやすくなる――
演者がEさんに向かって伝えたいことが、残りの人たちには伝わりやすくなる――
具体的に先鋭化された興味や関心というのは――
わりと理解されやすいのですね。