誰かにお願い事をするときは、
――ダメでもともと……!
と割り切るくらいが、ちょうどよいでしょう。
お願い事ですから――
お願いされたほうは、いつでも断る権利があるのです。
最悪の場合、
――ごめんなさい。たしかに一度は引き受けたけれど、やっぱりダメだ。
といって急に断っても、よいのですよ――
単なるお願い事なのですから――
逆にいえば――
そういうお願い事を、いつでも断らないで引き受けてくれる――そして、いったん引き受けたら、いつでも必ず最後までやりとげてくれる――
そういう人は、自分にとって信じられないくらいに貴重な人なのですね。
誰かにお願い事をするときというのは――
その相手が、自分にとって信じられないくらいに貴重な人なのかどうかがわかるとき――わかってしまうとき――
そういう緊迫の一瞬でも、あるのですね。