手紙を封する瞬間と――
電子メールを送信する瞬間と――
どっちが緊張するかといえば――
僕は、手紙を封するほうですね。
電子メールを送信する瞬間は――
それほどでもなくて――
(送信しちゃえば、あとは野となれ山となれ……!)
と割り切れるけれども――
手紙を封する瞬間は――
そのあとも封した手紙が手元に残るから、何とも重たい気分になるのです。
おそらく――
手紙を投函する瞬間が、電子メールを送信する瞬間と重なるでしょう。
手紙を封するというのは――
何とも嫌なものです。
胃がキリキリしたり、吐き気を催したりします。
僕は、これまでに――
封したあとで開封し、中身を確認したことが、何回かあります。
(あれ、なに、やってんだろう?)
と自分で自分を嘲笑したくなるのですが――
どうしようもないのですね。
封した手紙が手元に残っているぶん――
なかなか諦め切れないのですよ――「あとは野となれ山となれ」というふうには割り切れない――
その緊張感は投函する瞬間まで続きます。