物語に必要なのは――
正確性や緻密性ではなくて――
自発性や整合性ではないかと思います。
自発性というのは――
物語が自然と円滑に語られていく様子――
整合性というのは――
物語に矛盾や破綻がない様子――
この「整合性」というのは、正確性や緻密性とは似ているようで、似ていないのです。
矛盾や破綻がなければ――
間違っていても大雑把であってもよい、ということです。
なぜか――
正確性や緻密性を追求すると――
自発性が失われるのです。
(あれ、ちょっと待てよ? ここはもう少し調べなきゃ)
とか、
(もう一回、立ち止まって、じっくり練り直そう)
とか思っていては――
物語が自然と円滑に語られるということはありません。
少なくとも、自発性を保ったままで、正確性や緻密性を目指すことは至難の業といってよい――
正確性や緻密性は――
学術でこそ必要とされる性質です。