自分以外の誰かのプライベートの話には――
面白いものと――
そんなに面白くはないものとがあります。
「そんなに面白くはないもの」というのは――
もっといえば、つまらない話、うんざりさせられる話――
ということですね。
なぜ2つに分けられるのか――
僕は、勝手に次のように分析しています。
――自分以外の誰かのプライベートというものは、ありのまま真実であれば「そんなには面白くないこと」であり、多少の嘘が混じっていれば「面白いこと」であるに違いない。
と――
例えば、自分以外の誰かのプライベートが語られようとするときに――
その人のプライベートを、その人以外の別の人が少し脚色して語ったら、ときに信じられないくらいに面白くなるのに――
その人自身が具体的かつ詳細に語ったら――つまり、赤裸々に語ったら――どうしようもなくつまらなくなる、ということが――
珍しくはないからです。
「赤裸々に」なのに、つまらなくなる――
しかも、語っている当人の思考力が逞しく、表現力が豊かで、構成力が高ければ高いほどに、つまらなくなる――
つまり――
ありのままの真実をありのままに語ってはいけないのですね。
ですから――
そのような才知に長けた人は、注意をしたほうがよいでしょう。
だって――
自分のプライベートを赤裸々に語れば、かえってつまらなくなるので――
語るだけ損ですよね。
ところが――
ありのままの真実をありのままに語れない人は、そうではありません。
つい尾ひれをつけてしまう人、つい肝心なことを端折ってしまう人――
そういう人が自分のプライベートを語れば、ときに信じられないくらいに面白くなります。