人は――
習慣に従って行動するときは、そんなに大きな間違いをしないものですが――
習慣にはなっていないことをするときは――
えてして大きな間違いをするものです。
例えば――
いつもとは違う時間に、違う場所へ出かけるときは――
うっかり自宅の施錠を忘れてしまう、というように――
いつも決まった時間に決まった場所へ出かけるときなら――
とくに意識はしなくても、まず忘れたりはしないのに――
人は――
自分が大きな間違いをしそうなときというのを――
おそらくは生活の経験を重ねていく中で、理解し、把握していきます。
そうした理解や把握のことを、
――年の功
と呼ぶのがよいでしょう。
もちろん――
こうした知恵は、たんに歳をとるだけでは身につきませんが――
歳をとらなければ、たぶん身につけようがありません。
理屈ではないからです。