3月10日以降の『道草日記』で――
ビジネスには2種類あるということを述べました。
利益の獲得を目標とする「利益追求型」と――
損害の回避を目標とする「損害抑制型」とです。
利益追求型ビジネスの典型は商業でしょう。
いかにして利益(企業の収益など)を少しでも多く獲得するかが常に喫緊の課題となります。
一方――
損害抑制型ビジネスの典型は医療です。
いかにして損害(患者の症状など)を少しでも多く回避するかが常に喫緊の課題となります。
この類型の区別が大切なのは――
ビジネスには失敗がつきものだからです。
ビジネスに限らず、人は己の成すことで必ず失敗をします。
それが人の本性です。
それゆえに――
人は失敗をしても最終的にはその失敗を取り返せるように、常に備えておかなければなりません。
当然、ビジネスについても、そうです。
ところが――
利益追求型のビジネスと損害抑制型のビジネスとでは、失敗の対応策が異なるのですね。
利益追求型では、利益を獲得し損ねることが失敗です。
一方――
損害抑制型では、損害を回避し損ねることが失敗です。
簡単にいえば――
利益追求型では、失敗が9回でも失敗の阻止(つまり成功)が1回あればOKであり――
損害抑制型では、失敗が1回あれば、失敗の阻止(つまり成功)が9回あってもダメなのですね。
よって、当然のことながら――
利益追求型ではリスクを果敢にとる姿勢が好まれます。
損害抑制型ではリスクを不用意にとる姿勢が嫌われます。
ときどき――
利益追求型のビジネスに長けている人が、損害抑制型のビジネスに携わっている人を「臆病だ」とか「保守的にすぎる」とかと揶揄したり――
損害抑制型のビジネスに長けている人が、利益追求型のビジネスに携わっている人を「無謀だ」とか「思慮が浅い」とかと糾弾したりするのを見聞きしますが――
自分の仕事の類型を正しく理解して常に2つの類型の違いに敏感な人は――
そのような揶揄や糾弾とは無縁です。