――言葉の力
などと、よくいいますが――
僕は、あまり使わないようにしています。
(うかつに使えないよな~)
というのが、本音です。
というのは――
この「力」は、言葉の出し手よりも受け手の能力や感性に依存していると思うからです。
ここでいう「能力」とは、言葉の意味を理解する的確に理解する技術であり、「感性」とは、言葉の情緒を豊潤に感受する素質です。
つまり、うっかり、
――あの人の言葉には力がある。素晴らしい!
などといったら――
それは自賛になりかねないわけですね。
自分の能力や感性を「素晴らしい!」といっているに等しいと解釈されうるからです。
それゆえに「言葉の力」は難しいと思います。
もちろん――
この表現を用いることによって、その「言葉」に宿っている潜在能力や、その「潜在能力」を宿らせた人の能力の高さや感性の豊かさを意味させることも、できなくはないのでしょうが――
多くの場合は、その「力」を感じとった人の能力の高さや感性の豊かさを意味することになってしまうでしょう。