科学研究で、
――「AはBである」とはいえない。
という結論が出されたときに――
すぐに、
――AはBではない。
という結論が出されたと理解してしまう人が後を絶ちません。
それは誤解です。
なぜならば、「『AはBである』とはいえない」とは、
――AはBである。
という主張の論証に失敗したことを意味するだけであって、「AはBである」という主張の可否には何ら言及していないからです。
それは――
喩えるならば――
数学で三平方の定理の証明に失敗した中学生が、
――三平方の定理は間違っている!
と思い込むことに等しいといえます。
その思い込みは――
三平方の定理の証明の仕方に成功した中学生に共有されえないのはもちろんのこと――
日頃から三平方の定理を使って図形の数値問題を解いている中学生にも共有されえないのは――
明白といえましょう。