計画は、
――練りすぎてはいけない。詰めすぎてはいけない。
そう思っています。
精緻に体系化され、細微に至るまで具体化された計画というものは――
その実行の段階で、必ずや“足かせ”となるでしょう。
なぜか――
計画を立てる人の知性には限界があるからです。
すべての事象を想定し、あらゆる状況に対応した計画を立てるということは――
全知全能でない人の知性には、とうてい不可能です。
どんな計画であっても――
その計画の完遂に必要なのは、現場にいる人たちのとっさの判断です。
その“とっさの判断”を支持する土台、補強する鎧袖――
それが計画です。
体系化は大雑把でよい――
具体的なのは骨子だけでよい――
ほどほどに練り上げ、ほどほどに詰め切っておく――
それが計画です。
さらにいえば――
その計画を実行に移す人たちが、自分たちの関心事の周辺だけを精緻に体系化したくなるような計画――
あるいは、自分たちの関心事に絞って微細に具体化したくなるような計画――
そういう計画こそが「優れている」といえます。
いいかえるならば――
現場の人たちの周到性や創造性を適度に刺激するのが優れた計画だということです。