礼を尽くせば、礼を尽くされ――
無礼をはたらけば、無礼をはたらかれ――
それが人の世のならいだと思うのですが――
なかには――
自分は礼を尽くさずに、相手には礼を尽くさせて――
自分は無礼をはたらきつつ、相手の無礼は咎めだて――
そういう不均衡な言動の人が――
少なからず、あるものです。
そういう人は、もちろん自分の言動が「不均衡だ」とは露も思っていなく――
だからこそ、ときに周囲に根の深い問題をもたらしてしまうものですが――
当人は、自分の言動こそが、
――問題の根源だ。
とは、まったく理解していません。
そんなわけですから――
適切な対応がとれるわけはなく――むしろ、火に油を注ぐ結果になりかねず――
そうやって、いたずらに問題を深刻化させてしまうのですね。
(なんとかならないのかな~)
と思います。
こんなことを指摘すると、
――それが、そんなに強調すべき指摘か。
と訝る向きがあるでしょう。
いえ――
誰かの不均衡な言動が周囲に軋轢を生むという指摘自体は、ごく当たり前の指摘であり――
とりたてて強調すべきではありません。
強調すべきは、「礼を尽くす」の中身――あるいは「無礼をはたらく」の中身――
つまり、
――礼の規範
について――
この国では、
――いまだに総意が形成されていないのではないか。
という指摘です。
例えば――
今の日本の10代・20代と、30代・40代と、50代・60代と、70代・80代とで、礼の規範が等しく共有されているとは――
僕には、ちょっと思えません。
海外では、何となく共有されているような気がするのですよね。
日本にやってきている外国人の話を聞く限りは――
もしかすると――
そこには、けっこうな偏向があるのかもしれませんが……。