流行しているものほど、背を向けたくなる――
という習性が――
僕にはあります。
(へえ。それハヤってるの。じゃあ、いいや)
と放り出す――
あまのじゃくといえば、あまのじゃくですが――
純粋に興味がわかないのですよね――いま流行しているものには――
――これから流行しそうなもの
であったら――
少しは興味もわきますが――
すでに流行してしまっているものなら、
(今さら興味をもっても仕方がないし……)
ということですね。
ただし――
なぜ、それが流行しているのかについては――
時々、強く興味がわきます。
そういう時は――
流行がおさまるのを待ってから、
(なぜ流行していたのか)
との疑問を抱き、その「流行していたもの」に迫るのです。
こういうことをやっていると――
流行の先どりは愚か、流行の周回遅れになりそうですが――(苦笑
あとから流行を振りかえるというのは――
けっこう面白いのですよ。
流行の発生の社会メカニズムに触れられるような気がします。
“時代の寵児”が“時代の空気”を吸って勢い猛り狂うさまは、なかなかに壮麗です。
たぶん、そこに社会の集団心理の一端をみることができるのですが――
その心理の移ろいは、儚くも厳かです。
人は、
――流行に秘密はない。いま流行しているものが流行しているだけだ。
といいますが――
この言葉に集団心理の特性が濃縮されているように感じられます。