以前――
子供向けの百科図鑑か何かで、
――人の一生
という項目を目にしました。
現在、80歳くらいになっている女性が、着物姿で写っているカラー写真が載っていて――
その隣に、50歳くらいだった頃の写真が載っていて――
その隣に、30歳頃の写真――
その隣に、15歳頃の写真――
50歳頃の写真は色あせたカラー写真で――
30歳頃の写真は鮮明な白黒写真――
15歳頃の写真は不鮮明な白黒写真でした。
写真自体は80歳頃のカラー写真が最も鮮明かつ綺麗であったので――
その時の僕は、とくに何も思わなかったのですが――
つい昨日――
似たような「人の一生」を目の当たりにしまして――
今度は、イラストだったのですね。
とても上手なイラストで――
一人の女性が思春期から老年期まで歳を重ねていく様子が、きちんと4枚の絵に描かれている――
おそらくはプロのイラストレーターの描いた絵ですから――
どれも同じように綺麗に描かれているわけですよ。
それで、「はた」と感づいたのです。
(同一人物の10代から80代までの姿を一列に並べる構図というのは、ある意味、とても残酷だ)
と――
(人の一生の儚さを、これ以上ないくらい明瞭なかたちに、示しきってしまっているではないか)
と――
……
……
僕の一時の気の迷いなのかもしれませんが……。