――失敗を恐れるな!
とは、よくいわれることですが――
この警句――
不用意に使うのは危険だと思っています。
というのは――
失敗には、
――許される失敗
と、
――許されない失敗
との2種類があるからです。
今年の5月に作家の竹内薫さんがお出しになったビジネス書『失敗が教えてくれること』(総合法令出版)をお読みになった方なら、すぐにおわかりかと思いますが――
概して、「許される失敗」というのは、利益獲得型の課題での失敗であり、「許されない失敗」というのは、損害回避型の課題での失敗です。
この2つを混同することは、大変に危険なことだと、僕は思っておりまして――
僕が『失敗が教えてくれること』に監修として関わった際には、こうした僕の見解を取り入れて頂きました。
利益獲得型では、1回でもウマくいけば、9回くらいダメでも、大丈夫なのに対し――
損害回避型では、999回ウマくいっても、1回ダメだったら、大丈夫ではないからです。
利益獲得型の失敗は損害が軽微であるのに対し、損害回避型の失敗は損害が甚大であるからです。
こうした話は――
聞く人が聞けば、
――そんなの、当たり前だ!
と思うような話でありますので――
(わざわざ明示する必要はないのかな)
と思わないでもなかったのですが――
仮に、それが本当に「そんなの、当たり前!」であったとしても――
当たり前のことを明示することは、それを明示しないで誤魔化すことよりも、いくらかは有益である、と僕は考えていますから――
(やっぱり明示して良かったのだろうな)
と今は思っています。
当たり前のことを当たり前のように明示していると――
短期的には、煙たがられることが、しばしばなのですが――
長期的には、ありがたがられることが、しばしばなのです。