失敗を恐れず何事かに果敢に挑もうとするときに、
――失うものは何もない。
などといいますが――
この言葉、
(簡単には口に出すべきではないな~)
と感じています。
というのは――
誰だって、少なくとも1つは「失いうるもの」があるからです。
命です。
――「失うものは何もない」といって飛び出して、交通事故にあって亡くなった。
というような話を――
ごく稀に耳にします。
ごく稀です。
滅多に起こりません。
が――
絶対に起こらないのではありません。
そんな悲惨なケースも――
ごく稀に起こりうる――
それが――
この僕らの住む世界の実相です。
「失うものは何もない」は、正しくは、「失うものをすべて失っても構わない」でしょう。
そんな台詞が意義を帯びうるのは――
例えば、政治家が自身への奇禍に怯まずに自分の信じる政策を実行しようとする状況くらいではないでしょうか。