マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「まぁ、騙される自由というのも、あるのかな……」

 誰かの奇抜な主張を見聞きしたときに――
 
(なんか、それ、おかしいと思うよ)
 と感じた場合でも――
 
 その奇抜な主張のどの部分が、どんなふうにおかしいのかを――
 なかなか具体的には指摘できないことがあります。
 
 ただ、直感的に、
 
 ――おかしい。
 
 と感じるだけで――
 分析的かつ論理的に、
 
 ――ここが、おかしい。
 
 とは指摘できないのですね。
 
 たいていは、
(そんなウマすぎる話があるわけないだろう?)
 という感覚が、「おかしさ」の根っこになっているのですが――
 
 そのどこが「ウマすぎる」のかが、きちんとは説明できないのですね。
 
 でも――
 先方は、
 
 ――だって、ホントにこうなったら、万々歳でしょ? そして、実際に、そうなるんですよ。
 
 と畳みかけてくる――
 
 ……
 
 ……
 
 そのうちに、こう思えてくるのです。
 
(まぁ、騙される自由というのも、あるのかな……)
 と――
 
 たとえ騙されても――
 あとで悔いなければ、よいのですよね。
 
(「ひょっとして騙されてるかも……」と思いながらも騙されていたんだから、まあ、仕方ないよね)
 と――
 
 詐欺の被害に遭うときの心境とは――
 こういう心境なのかもしれません。