雑談の難しさは――
話題の選び方もさることながら、
――その話題が含んでいる本質的な問題点には決して触れないようにする。
というところにあります。
――あえて表面的なやりとりに終始する。
といっても、よいかもしれません。
例えば――
仕事上の愚痴などが好例です。
愚痴は、一般的には避けるべき話題ですが――
適度に冗談めかせるなら、雑談には最適です。
――この前、「客商売は大変なんです」って、ついお客さん相手に本音をもらしたら、いたく共感されちゃいましてね。
――え~! それって、本来は絶対いっちゃいけないことですよね~。
――そうなんですけどね~。あははははは……(笑)
で気持ちよく終わりにすることができる――
が――
その愚痴が示唆する本質的な問題点に話題が及べば――
事態は急にキナ臭くなります。
――もし、そのお客さんが怒り出してたら、どうするつもりだったんですか。
とか、
――ちょっと気持ちがタルんでたんじゃないでしょうか。気をつけましょう。
とか――
どちらも問題の本質を指摘しているわけですが――
これをいってしまうと――
雑談が雑談ではなくなってしまいます。
雑談に際しては、本質的な問題点の“在り処”を、いち早く見抜いた上で――
その“周辺”にとどまり、周遊し続ける――その“在り処”には決して近づかない――
それが、極意だろうと思います。