世の中の嫌なところをみないで生きていけたら――
どんなにか楽だろうと思うのですが――
世の中で普通に生きていたら――
よほど現実逃避を徹底させない限り――
世の中の嫌なところは、必ず目にします。
利己的な人どうしが醜く争いあっているところとか――
そういうところも含めて、“世の中”なのですが――
ふつうの人は――
そういうところをみて、
――世の中っていいな~。
とは思わないでしょう。
思うのは――
おそらくは――
今まさに、この世の中と別れを告げようとしている人たち――今際の際の人たち――
そういう人たちには――
日ごろ目にしていた何気ない自然物――空や木や雲や草花――が、とてつもなく綺麗な物に感じられるそうですが――
きっと、利己的な人どうしが醜く争いあっているところも――
格別の思いで目にするに違いありません。