40歳を過ぎて――
(おいしくないものは、できるだけ食べたくないな~)
と、強く思うようになりました。
正確には、
――おいしく感じられない食べ物で、空腹を満たしたくはない。
ということです。
どうせ空腹を満たすのなら、美味な物で満たしたい――
美味でない物で満たすなんて、耐えられない――
それは――
ある意味、せせこましい発想に違いありませんが――
それでも――
本当のことだから、しょうがない――
美味でない物を食べて、お腹がいっぱいになってしまったら、
(なんか悲しい……)
と感じてしまいます。
10代、20代の頃は――
空腹を満たす手段について、こんなにも慎重に選ぶことになろうとは、つゆも思っていませんでした。
(空腹を一心不乱に満たせる喜びというものが、たしかに、あるのだな)
と――
今、思っています。
そういえば……。
……
……
10代の頃――
たまに父と食事を共にしたときのことが思い出されます。
父は、僕に向かって、
「今のうちは、いくらでも食べられるものだ」
と、よくいっていました。
その気持ちが、少しわかった気がします。