聴きたい歌を――
聴きたい時に「よし、聴こう!」と思って聴くのと――
何かの拍子に「え?」と思って聴くのとでは――
まったく印象が違います。
例えば――
自分で音楽プレイヤーを操作して聴くのと――
たまたまラジオで流れているのを聴くのとでは――
まったく違う――
しょっちゅう音楽プレイヤーで聴いている歌がラジオで流れてきたら――
(え? こんな歌だっけ?)
あるいは――
ラジオで流れていた歌をあとで音楽プレイヤーで聴いてみたら――
(う~む。思ってたのと違った)
良い意味でも悪い意味でも――
歌は一回性を帯びているのでしょう。
この“一回性”は、“偶発性”と呼び換えてもよい――
あの時、あの場で、あんなふうに聴いた歌だったからこそ――
その歌を「いい!」と思ったり、「つまらない」と思ったりするのでしょう。
そして――
その歌を音楽プレイヤーで繰り返し聴いていると――
そのうちに一回性は薄れていく――
どんどん薄れていって――
ある境を超えて薄まっていくとき――
その歌は、何か別の音楽に変化する――それは、もはや歌ではなくなっているのかもしれない――良い意味でも悪い意味でも――
そういうことではないかと思っています。