マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

無題

 すべての物事には――
 良い面と悪い面とがあるのですよね。
 
 良い面だけということはないし――
 悪い面だけということもありません。
 
 その物事の――
 悪い面しかみないというのは、とうてい健全な精神とはいえませんが――
 
 良い面しかみないというのも――
 ちょっと、どうかと思うのです。
 
 常に良い面と悪い面とを併せみるようにしていかないと――
 感性が鈍り、知性が狂うでしょう。
 
 本来は良い面であるにも関わらず、それを“悪い面”だと錯誤したり――
 本来は悪い面であるにも関わらず、それを“良い面”だと迷妄したり――
 
 しばしば、
 
 ――大人(たいじん)は清濁を併せのむ
 
 などといいます。
 
 大人(たいじん)とは、徳が高く、度量が広い人のことです。
 
 実は――
 大人だから、清濁を併せのむのではなくて――
 清濁を併せのむから、大人になるのではないでしょうか。
 
 いつも“清”ばかりのんでいると、“濁”の穢れや苦味や臭いがわからなくなり――
 いつも“濁”ばかりのんでいると、“清”の輝きや旨味や香りがわからなくなる――
 
 すべての物事について――
 良い面を深く知るには、悪い面も知っておく必要があり――
 悪い面を深く知るには、良い面も知っておく必要がある――
 そう思います。