――病気を治す。
ということと、
――病気の症状をとる。
ということとは――
根本的に異なる概念なのですが――
これら2つを混同していると思われる話を――
ときどき見聞きします。
「病気を治す」というのは――
治療を継続しなくても、症状が完全に消失している状態にもっていくことであり――
「病気の症状をとる」というのは――
治療を継続しなければ、すぐに症状が再発してしまう状態にとどまっていることです。
ある病気について――
その対策を国家レベルで練る時に――
これら2つの概念のうち、どちらを目標に据えるかは――
大変に重要な問題です。
場合によっては、「病気を治す」を目標にするのは諦めて――
「病気の症状をとる」を目標にするほうが、現実的な実効性を期待できるからです。
病気を治すべきか、病気の症状をとるべきか――
その違いは、どこに起因するのかといえば――
それは――
その病気の原因が十分に解明されているか否かです――あるいは、近い将来に十分に解明される見込みがあるか否か――
もし、原因が十分に解明されていて――
さらに、その原因を完全に取り除くことができそうならば――
病気は治るわけです。
が――
もし、原因が十分には解明されていなくて――
その原因を取り除くことができそうにもないならば――
いったん病気を治すことは諦めて、病気の症状をとることに集中したほうが、よいのです。
その場合は、病気それ自体の原因ではなく、病気で出現する症状の原因を突きとめればよいのですね。
一般に――
病気それ自体の原因よりも、病気で出現する症状の原因を突きとめるほうが――
いくらか容易なのです。