1973年生まれの僕は――
今40代のはじめのほうなのですが――
しばしばいわれることのなかに、
――人には、40代になって初めてわかること、50代になって初めてわかること、60代になって初めてわかることがある。
というものがあります。
たしかに、その通りでしょう。
が――
これと同じくらいに重要なこととして、
――人は、自分が10代や20代や30代の頃にはわかっていたことを、40代や50代や60代になって、すっかり忘れてしまうことがある。
ということも――
一方で指摘できるかと思うのです。
あるいは、
――人は、10代や20代や30代のうちにわかっておくべきことをわかり損ねたままに、40代や50代や60代を迎えてしまうことがある。
ということも――
しばしば、
――亀の甲より年の功
などともいいますが――
“年の功”を絶対視するかのような発想は――
概して、
(危うい)
と感じます。
「亀の甲より年の功」で、“年の功”の引き合いにだされているのは“亀の甲”です。
この“亀の甲”が何を意味しているのかは、いま一つハッキリとはしませんが――
「亀の甲より年の功」の真意は、
――熟慮や衆議を重ねに重ねても、なお判断に迷うような場合には、無難に“年の功”にすがるとよい。
というものではないでしょうか。