一般に――
何かを忘れることは悪いことではないと思うのです。
その「何か」を忘れた結果――
約束を反故にしたり、関心を取り戻そうとしなかったりすることが悪いのであって――
そうでないのなら――つまり、約束を守ることができ、かつ関心を取り戻すことができるのなら――
何かを忘れることは、決して悪いことではない――
むしろ良いことではないでしょうか。
もちろん――
その「何か」が自分の目の前にある事物である場合――つまり、自分が当事者として関わっている事物である場合――は、大いに問題であるといえます。
そういう事物を忘れるようでは、人は、健全な社会生活を営めませんから――
が――
そういうことは――
健常な成人には、まず起こりえないことです――認知症にでもかからない限りは――
そんなに心配することではないでしょう。
また、仮に、そういうことが起こったとして――
それは純粋に医療・福祉の問題であり、一般論からは大きく外れます。
よって――
あくまで一般論としては――
自分が当事者として関わっているわけではない事物については――
それを忘れるのは、
――仕方がない。
と寛容に思うのが良いと思います。
――忘れた! けしからん!
といって血相を変えるのは――
少なくとも寛容の精神からは遠いでしょう。
もしかすると、それは――
血相を変えて「けしからん!」といっている人の自分本位にすぎないかもしれません。