年長の社会人が、年少の社会人に、
――考える前に動け。
と助言したり、
――動く前に考えろ。
と助言したりするものですから――
年少の社会人は、しばしば弱ってしまうのですが――
この違いは――
要するに、
――情動を肯定的にみるか否定的にみるか。
の違いです。
ここでいう「情動」とは、
――人の行動に強い影響を及ぼし得る感情
くらいの意味です。
感情は、その人の行動に、思考や知覚とは独立に作用することがあり――
そのことを、人は歳をとるごとに深く理解していきます。
情動には、好ましい情動と好ましくない情動とがあり――
一概に「良い」とか「悪い」とかいえないのですが――
人は、社会人として何十年も生きていくうちに、次第に、
――情動を肯定的にみるタイプ
か、
――情動を否定的にみるタイプ
かのどちらかに分類されていくものなのですね。
そして――
情動を肯定的にみるタイプは、「考える前に動け」といいたがり――
情動を否定的にみるタイプは、「動く前に考えろ」といいたがる――
つまり――
行動の“動力源”としての情動を、
――衝動性
とみるか、
――実行力
とみるかの違いです。
実際には――
情動は、時と場合とによって肯定的にみたり否定的にみたりして適宜、調整していかなければならないものですが――
その調整が完璧にできる人などはいません。
たいていは、どちらかに偏っている――
そのどちらに偏るのがよいのかを示唆する助言として、「考える前に動け」や「動く前に考えろ」があると考えればよいでしょう。
結局は(情動に対する)好みの問題に帰結されますから――
どちらを受け入れるべきかは、気楽に考えればよいのです。
というよりも、
(気楽に考えるしかない)
ですかね。