マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「事なかれ主義」の誤解

 ――事なかれ主義

 という言葉があります。

 この言葉――
 僕は、
(誤解を生みやすい)
 と思っています。

 ふつう「事なかれ主義」といえば、

 ――万事が平穏に済みさえすればよいとする消極的な態度や考え方

 を指しますが――

(そんなの、人として当たり前だろう)
 と思います。

 この世に生まれ、この世に暮らしていて、「万事が平穏に済みさえすれば……」と願わない人が――
 はたして、いるでしょうか。

 そのような意味での「事なかれ主義」であれば――
 決して糾弾されるべきではない、と――
 僕は思います。

 それは、人として自然な心情だからです。

 が――
 実際には、「万事が平穏に済みさえすれば……」では済まない現実があるからこそ――
「事なかれ主義」は糾弾されるのです。

 人々の切なる願いとは裏腹に――
 ときに「事」が起こってしまうという厳しい現実――

 この現実を直視せず、理解せず、まったく受容しようとしない態度や考え方こそが「事なかれ主義」であり――
 それは、決して「消極的」ではなくて、むしろ「無責任」といえましょう。

「事なかれ主義」とは、

 ――万事が平穏に済むことを夢想し、何ら有事の対策をとろうとしない無責任な態度や考え方

 である、と――
 僕は考えています。