マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

男気

 ――男気(おとこぎ)

 という言葉を、

 ――男らしい。

 という意味で使う人が増えていると――
 警鐘を鳴らしていらっしゃる方がいます。

 たしかに――
 辞書などによると、「男気」とは、

 ――弱い者が苦しんでいるのを見逃がせない気性、損得をかえりみずに弱い者を助けようとする気質、男らしい気質

 と説明されていて――
 単に「男らしい気質」のことを「男気」といっているわけではありません。

 つまり――
 この言葉に背景には、

 ――どういう気質を「男らしい」とみなすか。

 について――
 かなり踏み込んだ解釈がなされているのですね。

 すなわち、

 ――「弱い者が苦しんでいるのを見逃せない」とか「損得をかえりみずに弱い者を助けようとする」とかいう気質こそが「男らしい」――

 という解釈です。

「損得をかえりみず」というところが、若干、気になりますね(苦笑

 人の世で「損得をかえりみず」を本当に実践してしまうと――
 安寧には暮らせなくなります。

 真に男気にあふれた人物というのは、生きていくのが大変に違いありません。

 ですから――
「男気」という言葉は、本来、慎重に使わなければならない言葉であって――
 褒め言葉になるケースが相応に限られる言葉である――
 ということです。

 ちなみに、

 ――女気(おんなぎ)

 という言葉もありまして――
 こちらは、

 ――優しくて、内気で、しとやかな心、女が自然と備えている気質

 です。

 こちらの言葉についても――
 背景では、かなり踏み込んだ解釈がなされています。

 すなわち、

 ――「優しくて、内気で、しとやかな心」こそは、「女が自然と備えている気質」である。

 という解釈です。

 やはり――
 そんなに気安くは使えない言葉ですね。