亡くなった身内の写真を飾っておく写真立てを探しに――
先日――
仙台の街中を歩きまわったことがあったのですが――
ある仏具屋さんで――
モダンなデザインの写真立てが陳列されていまして――
それら写真立ては――
人の顔の写真ではなく、絵を収めていました。
仏具屋さんなので、当然――
そこに絵として描かれている人たちは、すでに亡くなっていることが暗示されるわけで――
実際――
高齢の男性や高齢の女性と思しき絵を多く収めていたのですが――
そうした絵に混じって――
なぜか、うら若いと思しき――おそらくは、20代くらいの――女性の絵がありまして――
(おや……)
と思ったのです。
もちろん――
人は、いつ死ぬかわかりませんから――
そこに若い人の顔があっても、何らおかしなことではなく――
その点を怪訝に思ったのではありません。
何かを怪訝に思ったのではなくて――
ただ、ハッとさせられたのですね。
(実際にあれくらいの年頃の娘さんをもつ人が、この絵をみたら、たぶん簡単には見過ごせないだろうな)
と――
20代の娘さんのいる人のほとんどは――
その娘さんが遺影におさまる可能性など、おそらく考えたこともないと思いますし――
考えたくもないと思うのです。
が――
仏具屋さんで、そういう絵を収めた写真立てを目にすれば――
イヤでも考えずにはいられないと思うのですよね。
――人は、いつ死ぬかわからない。
ということを――
今の僕に20代の娘はおりませんが――
もし、いたら――
その写真立ての前で――
僕は、しばらく動けなかったと思います。
……
……
ちなみに――
その仏具屋さんでは、20代の男性と思しき絵を収めた写真立ては、見当たらなかったと記憶しております。
たぶん、どこかにあったのだと思いますが――
その20代の女性と思しき絵が、よほど強烈であったらしく――
よく覚えておりません。