小学校に上がって1年か2年が経った頃――
近所の友人が、そのお母さんの言葉として、こんなことをいっていました。
――エラい人は、なぜか悪いことしか予言できない。良いことも予言できない人は、信用する必要はない。
(たしかに、そうだな~)
と――
子ども心に納得をした記憶があります。
1980年代序盤の話です。
たぶん、そのお母さんの念頭にあったのは――
あれから30年以上が経ち――
中世ヨーロッパの占星術師に限らず、不吉なことを予言する“エラい人”というのは、一向に後を絶ちません。
つい先ごろも――
イギリスの理論物理学者スティーブン・ホーキング博士らが、国際的な学術会議の場で、
――近い将来、人工知能兵器による“ロボット戦争”が勃発する。
との警句を発したそうですが――
これなどは、まさに「エラい人は、なぜか悪いことしか予言できない」の典型例ではないでしょうか。
(だから、信用しないぞ~)
と――
小学生のマル太なら思ったでしょうが――
中年になったマル太は、
(でもな~)
と思うのです。
(予言するなら、やっぱり“悪いこと”だろう)
と――
(“良いこと”を予言しても、あんまり意味はないだろう)
と――
なぜならば――
“悪いこと”を予言しておけば――
その後、その“悪いこと”が起きないように、皆で必死に努力をするかもしれません。
もし、予言が外れたら、皆で大喜びです。
逆に――
“良いこと”を予言したら、どうなるか――
たぶん、その後、誰かが必死に何らかの努力をする、ということはありえないでしょう。
予言が外れたら、皆で落胆するだけです。