マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「朝の時間を有効に……」は、いいかげんな主張では?

 朝の時間を有効に活用できる人はビジネスで成功をおさめる――
 などといわれます。

 そういう格言を耳にするたびに、
(本当かな~)
 と疑います。

(たしかに夏場は、そうかもしれないけれど、冬場はどうなるの?)
 と思うからです。

 真冬の朝、まだ暗いうちから起き出して仕事を始めたり、職場に出かけたりすると――
 人は、精神的にダメージを受けるのではないか、と――
 僕は思っているのですね。

 僕自身――
 30代半ばの頃に、毎朝、始発の電車に乗って通勤していた時期がありました。

 夏場は良いのですよ。

 電車に乗る前に日の出を迎え、十分な朝日を浴びています。
 たぶん、体内時計がリセットされているのでしょう――電車の中で、何だかとっても晴れやかな気分になれます。

 が――
 冬場は良くない――

 その理由は――
 電車に乗った後で日の出を迎えるからです。

 電車の中で日の出の弱々しい朝日を浴びても――そんなに晴れやかな気分にはなれません。
 むしろ、それが夕日に感じられたりする――(苦笑

 まだ暗いうちから起き出しているものですから――
 たぶん、体内時計が狂ってしまっているのですね。

 そもそも――
 日の出の前に自宅を出て厳寒の暗闇に飛び込むというのは――
 夜行性でない生物種のヒトとして、不自然きわまりない行為ではないでしょうか。

(なんで、こんな時間に出かけなければならないのか)
 と――
 つい自問してしまいます。

 もちろん――
 相応の論理的理由があるからこそ、そうしているわけですが――
 そういう頭だけの理解は何の役にも立ちません。

 日の出の前に凍てつく真っ暗闇に出かけること――それ自体が、精神的なダメージをもたらします。

 それは、論理の及ばぬ心的メカニズム――おそらくは情念の領域です。

 なので――
 いわゆる「朝の時間」というのは、例えば、“午前4時から6時まで”といった時刻で定義されるのではなくて――
 例えば、“日の出から2時間”といった日照時間に絡めて定義されるのがよいでしょう。

 さらにいえば――

 いわゆる「朝の時間」というのは――
 日の出の早い夏場にしか存在しないのです。

 日の出の遅い冬場には存在しない――

 よって、

 ――朝の時間を有効に活用できる人はビジネスで成功をおさめる。

 という格言は、いいかげんな主張ではないか、と――
 僕は思っています。

(それは、夏場だけに通用する話でしょ?)
 と――

(それを冬場に無理してやると、心身のバランスを崩すでしょ?)
 と――

 実際、「朝の時間を有効に活用できる人はビジネスで成功をおさめる」といった格言は、今の季節――つまり、夏場――にしか聞いたことがないと思うのです。

 同様の格言を――
 冬場に聞いた記憶はありません。