日本のアニメが一級品のコンテンツとして世界中で認められていることは――
が――
日本のアニメの制作に関わっている人たちが――
それに見合った待遇を受けているとは、ちょっと言い難い状況です――月給10万円を手にするのも簡単ではない、とか……。
そんな現状を、国内・国外の識者が見聞きして、
――日本の政府は何をしているのだ?
と批判の声を挙げているのだそうです。
――もっとアニメ産業を保護し、アニメの制作に関わっている人たちの待遇を改善すべきだ。
というわけですね。
たしかに、正論ではあるのですが――
何となく違和感を覚えるのも事実です。
政府がアニメ産業を保護し始めると、日本のアニメが今ほど高くは評価されなくなるのではないか――
という不安があるからです。
傑作や優秀作の背後には駄作や失敗作が山ほどあり――
また、傑作や優秀作の中には、品の良い作品ばかりではなく、けっこう品の悪い作品も含まれています。
政府がアニメ産業を保護し始めても――
そうした品の悪い作品まで助成するとは思えませんから――
結局は、品の良い作品ばかりが制作されることになるでしょう。
その結果、日本のアニメの裾野は著しく狭くなる――
かといって――
日本のアニメが一級のコンテンツとして世界中で認められる現状を維持・発展させる上では、アニメの制作に関わる人たちの待遇を改善することが、必須といえます。
そのようなわけで――
何とかして政府の手を借りることなく、アニメの制作に関わる人たちの待遇を改善する方法はないものか、と――
ここ10年ほどのマル太は、少し真剣に考えているのですが――
なかなか妙案は浮かびません。
一ついえることは――
*
進路に悩む高校生が、
――僕、アニメーターになりたい。
といって――
両親を心の底からガッカリさせたといいます。
まずは、こういう現状から変えていく必要があるでしょう。
両親をガッカリさせるのではなくて――
ましてや、安心させるのでもなくて――
――あんなに厳しい世界にいって大丈夫なのか? 成功できるのは、ほんの一握りの天才たちだけではないか。
と心配させる――
そういう状況を作り出さなければなりません。