仕事で失敗をして上司に説教をされて、
――なんだよ! 自分は部下として1回も失敗したことがないとでもいうのかよ!
と心の中で毒づいたり――
仕事で失敗をした部下に説教をして、
――う~む。ホントは、オレも、むかし同じような失敗をやってるんだよな~。
とバツの悪い思いをしたり――
そうやって苛立ったり落ち込んだりしている人たちには――
ぜひ、
――失敗
ということを、もう一度じっくり考えなおして頂くのが最善だと思っております。
それには――
いわゆる「失敗」をテーマにした啓発書を読んだり、TVの啓発番組を見たりするのが良いでしょう。
TVの啓発番組については――
最近では、バラエティ仕立ての優れた番組が定期的に放映されたりしていて、
(世間の失敗に対する見方も、だいぶ変わってきたな~)
などと感じ入っております。
啓発書については――
実に様々な書籍が発表されていて――
どれを読んだらいいのか、選ぶのに一苦労なくらいになっているのですが――
お勧めは、『失敗が教えてくれること』(竹内薫・著、徳永太・監、2014年、総合法令出版)です。
―― Nobady's perfect. (誰も完璧じゃない)
を縦糸に、先人たちの失敗事例という横糸を編み込んでいます。
中でも出色は、1983年のエア・カナダ143便の事故でしょう。
この事故は――
燃料の比重換算で、関係者の全員が基本的な勘違いをしていた結果――
高度1万2千メートルの上空で旅客機の燃料が空となったにもかかわらず――
なぜか乗客・乗員や地上にいた人々に死者は1人も出なかった――
という事故でした。
いわば、大失敗と大成功とが隣り合わせになった事故です。
この事故が、今日の僕らに力強く語りかけているのは、
――失敗から学ぶことは多く、成功から学ぶことは少ない。
ということです。
1983年のエア・カナダ143便の事故から学べることのほとんどは――
比重換算での勘違いという“大失敗”の部分からであり――
死者が1人も出なかったという“大成功”の部分からではありません。
つまり――
人は、基本的には失敗から学ぶのであって、成功から学ぶのではない、ということが強く示唆されています。
いいかえるなら――
人が学ぶには失敗が必要であり――
失敗をしない人は、ほとんど何も学べないといっても過言ではないのです。
なお――
去年から本サイトをご覧の方々の中にはご存じの方も多いかと思いますが――
*
失敗の啓発書については――
この『失敗が教えてくれること』以外にも、数多く挙げることができます。
それらの中でも、とくに本書をお勧めするのは――
本書の制作に僕も関わっているからです。
監修者名として記載されている“徳永太”は、マル太の本名です。
世の中に「失敗」を扱った書籍は数多くありますが――
自分が関わった書籍を一番に勧められないというのは、やはり、ちょっとマズいでしょう。
――あの本、僕が関わってるけども、内容はイマイチだから……。
なんていうことが、もしあったら――(苦笑
むしろ大問題であろうと思います。