駅の近くに停まっていたタクシーに乗り込んで――
ワンメーターの距離の行き先を告げたところ――
運転手さんが溜め息をつきました。
乗客の身としては、決して気分の良いものではありませんでしたが――
気持ちは、よくわかりました。
近年、タクシーの台数は飽和状態にあるといいます。
限られた人数の乗客を飽和状態にある台数のタクシーで奪い合っている――
という状況でしょう。
何十分も待って――ときに何時間も待って――
ようやく客が乗ってきたと思ったら、行き先がワンメーター――
これでは、たしかに溜め息もつきたくなりますよね。
駅によっては、タクシー乗り場が近距離用と遠距離用とに分かれています。
そういう仕組みだと、ワンメーターで乗りたい人は近距離用の乗り場に行けばよいわけですよね。
当然、そこの運転手さんたちも、そのつもりで待っているでしょうから――
少なくとも、いきなり溜め息をつかれることは、ないに違いない――
実際――
初めて近距離用の乗り場からタクシーに乗ったときは、
(これは、いいな)
と思いました。
変に気をつかわないで済む――
……
……
何ごとも棲み分けが大切ですよね(笑