先日、終電に乗っていたら――
隣の座席で、30歳くらいの女性が熟睡をしていまして――
(ちゃんと目的の駅で起きて降りれるのかな~)
と、老婆心ながら、心配をしていたところ――
不意に――
その女性の手元で音楽が鳴り始め――
同時に、
――ぶ~ん、ぶ~ん
と振動音もしたものですから――
それがスマートフォンであると、すぐにわかりました。
目覚めた女性は――
その後、スマートフォンに一瞥もくれることなく――
何事もなかったかのように、次の停車駅で降りていきました。
その様子をみていて、
(せっかく今の着信音で目が覚めたのに、誰からのメールなのか、電話なのか、それすら確かめもしないで……。ずいぶんドライな世の中になったものだ)
などと、少し寂しく思っていたところ――
きょう――
それが僕の誤解であったことを知りました。
最近の20~30代の人たちは――
終電で眠り込んで乗り過ごさないように、スマートフォンの目覚まし機能を利用するのだそうです。
タクシーの運転手さんが教えてくれました。
自分が降りる駅に着きそうな時刻で目覚まし機能が作動するように――
スマートフォンをセットしておくわけですね。
(そこまでやるのか)
と、半ば感心をしていると――
このやり方にも落とし穴があるそうで――
そうやって乗り過ごしを防いでいるうちに――
だんだん慣れてきてしまって――
そのうちに、眠ったままスマートフォンの目覚まし機能を解除してしまうようになるといいます。
セットが簡単なら、解除も簡単――
というわけですね。
ですから――
結局は乗り過ごすことになる、と――
「そうやって乗り過ごしたお客さんを何回か乗せていったよ。この前は30歳くらいの若い女の人だったね」
と、タクシーの運転手さんが笑っていました。
スマートフォンも――
便利がすぎると、そんなに便利ではなくなるのですね(苦笑