女性の色気というのは――
少なくとも男の視点では――
一つの要素から成るものでありません。
いくつもの要素から成るものです。
それら諸要素を――
思いつくままに挙げるなら、
顔立ち
体つき
目つき
声色・口調
立ち居振る舞い・仕草
髪の色・長さ
肌の色・匂い
といったところでしょうか。
これら諸要素の一つ以上について、
――性的魅力あり
の水準に達している場合に――
男は、
――あ、この女性には色気があるな。
と感知します。
が――
その際に大切なのは、バランスでして――
バランスは――
実は、良いよりも悪いほうが効果的のように思います。
つまり――
先ほど挙げた諸要素が――
どれも、まんべんなく「性的魅力あり」の水準に達しているよりは――
どれかが、ズバ抜けて「性的魅力あり」の水準を下回っていたりするほうが――
全体としては、強い色気を感じさせるのではないか――
ということですね。
具体的には――
前述の諸要素のうち、「髪の色・長さ」だけがズバ抜けて水準を下回っていて――例えば、完全なる白髪とか完全なる禿頭(とくとう)とか――
かつ――
他の要素――顔立ち、体つき、目つき、声色・口調、立ち居振る舞い・仕草、肌の色・匂い――は、すべて「性的魅力あり」の水準に達している――
というような場合が――
これに当たります。
実際――
完全なる白髪でありながら、強い色気を感じさせていた女性の存在を――
僕は知っております。
その人は、当時40代ないし50代で、ご病気のために20代の頃から白髪が目立っていたといいます。
その方が、もし白髪を染めていたら――
おそらく、より美人にはなっていたと思いますが――
女性としての色気は、半減していたでしょう。
女性の色気とは――
そうしたものであろうと思います。